ヘイズ、今日のシンガポールはマシになりましたね。
ところで、このヘイズ対策としてお隣マレーシアでは人工降雨を試みているのだとか。
人工降雨は2011年の東日本大震災の原発事故の時に放射性汚染物質の広域飛散防止のために有効な技術なんではないか?と思って個人的に調べたことがあるんです。確かその時は未だ未発達の技術であるということがわかり、がっかりした記憶があります。
その後北京オリンピックで人工降雨の話がまたでてきた時はあまり気に留めなかったのですが今回またヘイズ対策の話で人工降雨の話を聞いて、
「もしかしたら人工降雨技術はあれからすごい発展を遂げたのかも?!」
と期待して調べてみたんです。えぇ、私科学オタク博士ですから(笑)
結論から言いましょう、2019年現在でも人工降雨は未だ完成とはほど遠い技術です。
その効果もほぼ不明ですし、健康へのリスクへも不明です。そして人工降雨がもたらす生態系への影響も不明です。ただ、近年の研究により人工降雨によく使われるヨウ化銀(AgI)という物質は陸上生物と海洋生物に蓄積することはわかっています。AgIのSDSを見てみるとわかりますが、人への影響の欄はほとんど「データ不足」となっています。影響がわからないって怖いですよね。
シンガポールでもF1に向けて人工降雨を実行するとかいう噂を聞きますが、政府は根拠とともに否定していますね。
F1は雨雲の少ない乾季に行われるのでそもそも降雨を促進する雲が少ない。雨を降らせられたとしても、シンガポールのような小さく、風向きが様々な国では特に効果が不明であるため、人工降雨を行う予定は今も昔もない。と。
まぁこの見解自体は2015年のものなのでちょっと古いのですが根拠が根拠ですから人工降雨を行わないという考え方は今も変わらないでしょう。
しかし、調べを進めるとシンガポールはマレーシアやインドネシアに人工降雨を行うための援助をしているのだとか。ということは人工降雨の技術を疑ってシンガポールではやらない、というわけではなさそうですね。お隣の国の援助をすることで少しでもシンガポールのヘイズが緩和されるのであれば、ということでしょうか。それとも他国で実験して人工降雨の影響のデータを含めしたたかに集めているのでしょうか。一石二鳥かもしれませんね。
しかし、繰り返しになりますが、この人工降雨の技術はまだまだなのです。
先日もマレーシアでヘイズ緩和のために人工降雨が実行されたようで、関係者は「実りある結果」としているが続くコメントでは「限定的」となっています。ようはあまり効果がなかったのでしょう。大金はたいて実行しているでしょうからそういう言い方になりますわな。
そもそも山火事などの煙があるところに人工降雨は有効でないとか。下のForbesの記事では煙が雨の形成の邪魔をするという研究結果を引用していますね。
人為的に起こされるヘイズを解消するために、人為的に天気を操作する人工降雨を使う。なんだかまどろっこしい感じですが、どうか 人工降雨が新たな公害となりませんよう。。。(祈)